そったく日記

三重県消防学校

多数傷病者

昨日は、特殊災害の授業で実動訓練を実施した。昨年の初任科では、C災害を想定し、防護服、ゾーニング、除染、トリアージまでの内容を実施した。今年の想定は「マイクロバスと軽乗用車の衝突事故、多数の負傷者が発生」という多数傷病者事案。事前に救急担当教官にトリアージ(スタート法)の実技を実施してもらい、想定の現場イメージと基本的な活動の流れを全体で確認をした。また、訓練当日は各教官が小隊長もしくは活動に関して助言をする立場で、訓練に参加してもらい進行した。

多数傷病者事案は、傷病者数に対して消防力が劣勢である。CSCATTT(command& control命令統制 safety安全管理 communication情報伝達 assessment状況評価 triageトリアージ treatment 治療・処置 transport搬送)を軸に各隊が与えられた任務を遂行していく。救助したらおわり、搬送したらおわり、救急車に収容したらおわり、病院収容したらおわり、そんな単純なものではない。消防の任務である「災害等による傷病者の搬送を適切に行う」ということは、重症度・緊急度に応じた適切な医療の提供が行われる医療機関に搬送することが求められる。そのためには、各隊及び関係機関が密な連携とり、最後まで命をつなぐことが重要となる。学生たちは、まだ知識も技術もともなっていないなかでの実動となり、どちらかといえば体験型の訓練となったが、それぞれの活動を通じて感じたことをこれからも大切にしてほしいと思う。








訓練中に信号交差点を想定した場所で消防隊役の学生が立っていた。「何の任務にあたっている?」と尋ねると、学生「隊長の指示でここに立っています。」との返答であった。大きな災害になればなるほど後方支援にあたる隊が重要となる。現場の最前線で救助活動や救命処置等にあたる隊員も1つの大きな任務だが、その活動に際し、活動スペースの確保や資機材搬送・管理、情報収集など、活動の流れをつくっている隊員がいることを忘れないでほしい。彼が現場に戻った時に、そういった任務の重要性に気づくことができたら、きっと良い現場活動につながるだろう。(M.M)