そったく日記

三重県消防学校

初任科の8か月を振り返って

昨日(12月3日)の卒業式から一夜明け、初任科第52期生は、新鮮な気持ちで朝を迎え、決意新たに出勤したことと思います。


元気一杯の106人が卒業して、今日一日はとても静かな消防学校です。
今は、無事、卒業してもらえた安堵感と一抹のさみしさを感じています。


一方、各消防本部(消防署)では、初任科生が戻り、職場の雰囲気も変わっていることと思います。初任科生は新しい環境に一刻も早く慣れて、充実した日々を送ってくれるものと確信をしています。

消防学校は、来週から始まる指揮課程、指導救命士課程に向け、入校式の準備も完了して、新たな学生たちの入校を待つばかりの状況です。

今回は、長いようで短かった8か月を振り返ってみたいと思います。





4月8日の入校時には、学生の行動に対し細かな指示が教官から出され、自信なさげに対応している姿が印象に残っています。
入学式は、緊張感漂う中、無事終了し、翌日からは講義や基礎的な訓練が始まりました。




その後、私は府中市にある消防大学入校のため2週間不在にしていたのですが、戻った時には、生活にも慣れ、見違えるほど、機敏に行動をしており、少し安心したのを覚えています。
そして、28kmを歩いた耐久訓練、5km走(3回)、愛知県消防学校との合同訓練、真夏の炎天下で、熱中症や怪我と戦いながら繰り返した消防活動訓練、救助・機器取扱訓練、訓練礼式等数々の訓練をやり切り、9月19日には、総合査閲訓練を無事にやり遂げました。





総合査閲前は、夜間の課外訓練の時間を延長して、全員が必死に取組んだ姿が忘れられません。







こうした訓練と並行して、乙種第4類危険物取扱者玉掛技能、小型移動式クレーン技能などの資格取得や査察の実習、関係法令の学習等も行いました。




また、2日間に渡って、初任科生の訓練や消防学校での生活に密着したテレビ取材があり、大きく放映され、多くの方に初任科生の頑張りを見て頂く機会となりました。






総合査閲後、2か月間の救急科に入り、救急隊員に必要な知識、技能の習得に努めました。
このように、途中、体調不良者なども出ましたが、非常に密度の濃い課程を何とか全員が無事、終了し、卒業式を迎えました。
卒業旅行や謝恩会では、今の若者だなあと思わせる場面もありましたが、卒業式の凛々しい姿には感動しました。

卒業式では、今までの苦労を思い出し、感激のあまり涙ぐむ学生も多く、彼らには忘れられない消防学校生活になったと思います。
 あらためて、初任科生106名の皆さん、消防学校卒業おめでとうございます。




これからが本当のスタートですが、卒業を自信にして、消防業務に励んで欲しいと思います。

卒業式での学生謝辞は力強く素晴らしかったと思います。
この中で述べられた次の言葉を忘れないで欲しいと思います。







「明日から、市民の方々の生命、身体、財産を守らんが為、それぞれの所属へ帰ります。消防士としての本懐、これに優ることなく、喜びに耐えません。
 しかし、それとは別に心に留めておかなければならないことがあります。
・自分の命を危険にさらすような場所で、中途半端な力では誰も救えない。
・どんな困難にも立ち向かい、乗り越えていくこと
・全ての行動が自分の責任
・妥協は許されない
・辛いときこそ顔をあげ、強く、正しく乗り越えていかなくてはならない。
それは辛い事かも知れません。
しかし、私たちならできます。
なぜなら、私達は今ここにいる最高の仲間達と厳しい環境の下で訓練を積んだ誇り高き消防士だからです。」

 このように言えるまでに成長してくれてとても嬉しく思います。宣言したからには、有言実行で遭遇する困難を乗り越えて欲しいと思います。(K.A)
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