そったく日記

三重県消防学校

初任科58期 前半教育終了


本日、17日を以て、初任科の前半教育が終了した。


明日からは、約2か月間の救急科救急課程へ移行することとなり、後半の再開時期は10月13日だ。

 

 

初任科の目的は、かねてから言っているとおり、「即戦力の警防隊員の養成」である。
この前半の教育は、それを達成するために必要な特に基礎、基本的なものであった。

 

基礎、基本とは何か?


基礎とは土台であり、揺るぎないものでなければならない。 

基本とは軸であり、その形態は各分野で様々で、展開性のあるものである。
 

土台がしっかりしていなければ、軸は立っていられない。

 

初任科の教育において、実科訓練を例に挙げれば、基礎は体力、気力、忍耐力であり、基本はロープの結び方や、ホースの伸ばし方などの最初のいろはに当たる技術を指す。
 
では、人間面ではどうか?
挨拶、返事、身だしなみ、時間厳守、期限厳守、報告連絡、規範意識、協調協働、配慮、愛情、、、、
挙げれば限りがないが、これらは消防人としての基礎であり、基本はそれを土台、前提とした服務上のルールである。


もっとも、消防士として以前に、一社会人、一人間として生きていく上での必要な資質であるだろう。

 

自分個人としては、人間面における基礎基本が、最も必要なものであると思う。


いくら知識、技術が飛び抜けてあろうが、これらが伴わなければ人を助けることはできない。
住民、上司、先輩後輩、同僚から信用も信頼もされない。

 

 

学生は、知識面、技術面、人間面いずれもまだまだ不十分である。
「精鋭」にはまだほど遠い。


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人間力」という言葉がある。
人間力が高いとか、低いとかの言葉を耳にすることもあるはずだ。

 

人間力」について、内閣府のまとめた定義を引用すると、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」とある。
 

また、この定義は「知的能力的要素」「社会・対人関係力的要素」「自己制御的要素」の3つの要素から成るものとされている。

これら3つを合わせた総合力が「人間力」と言えるのだろう。

 

各要素を説明すると長くなるのでここでは紹介をしないが、そのうち学生には質問をする。

内容は自分で調べて解釈、理解してもらいたい。

 答えは常に与えられるものではない。

 

既に「人間力」が試されている。

そして、学生にはぜひ「人間力」の高い者になってもらいたいと願う。
 

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長い夏季休暇期間が終わった。これだけの長期休暇は、今後の消防人生の中では恐らく無い。

家族と十分過ごし、孝行もできただろう。
 
 

絶対にあってはならないことであるが、我々の仕事は、朝「いってきます」と言って家を出て、次の日の朝、無事に「ただいま」と帰ってこれる保証など、どこにもない。
 

現場へ出て行けば、想像以上に危険な目に遭うことも多々ある。
 

この道を選んだのは、自分自身の意思であるだろうが、学生の家族は、自分の子供、孫がそんな消防の世界へ入ったことを不安に思うこともきっとあるだろう。
  
いずれ、消防士として、家族よりも災害対応を優先しなければならないような場面もくるかもしれない。

 

そのとき自分はどうするのか?

 

この消防という仕事は、家族の協力、理解なくしてはできない。

 

普段、「できるうちに」感謝の気持ちを忘れず、孝行してもらいたい。

消防人として、これも時期を逸しないことが重要である。

 

 

 
明日から、救急科に移行する。これまでの61名に加え、2名の学生が新たに仲間に加わる。
共に切磋琢磨し、「救急隊員」として即戦力となれるよう努力せよ。

初任科前半の自分を振り返り、決して、気が緩むことがないよう与えられた立場、今成すべきことは何かを考え、救急科にも全力で取り組め。
超一流の講師陣も全力だ。全力には全力で応えよ。

 

救急科を経て、初任科再開時に一皮めくれていることを期待する。

 

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雑 記
私ごとではあるが、自分は去年、娘が産まれた。もうすぐ1歳だ。
日が経つにつれ、よく食べ、よく寝、どんどん成長していく。先日、ふと気づけば立ち上がっていた。

 

消防教育の指導者側において、「這えば立て」「立てば歩め」という言葉がある。
這ったら、次は立つことを教え、立てば次は歩くことを教えなさい。親心として喜ぶばかりでなく、その都度、段階を追って指導をしなさいということである。

 

これに例えるなら、学生はまだ寝がえりをしたぐらいだろう。
歩くまでは、まだまだ先は長い。

 

担当KR